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2013年5月12日日曜日

序章 オフィス・スパンキングを丸っと、公開っ!

序章 オフィス・スパンキング





 男は二十歳までに結婚できなければ、とても恥ずかしい思いをすることになる。


 男だったら誰だってこの言葉を聞いて育つ。
 俺だって聞いて育った。
 と言うか、俺に言わせれば世の中の男子は二十歳になるまでの間の時点で、相当に恥ずかしい思いをすることになっている。
 もしも女子に「お尻っ!」と言われたら、ズボンもパンツも脱ぎ、指定された体勢でお尻を差し出さなければならない。
 彼女たちの気が済むまで、叩かれなければならない。
 お尻叩きの権利は女子なら等しく平等に、誰もが所有している。
 男子に拒否権はない。
 ただひとつの例外を除いては…。

 例外とは、『誰かの男』であること。
 男女交際をしている女子がいる場合に限り、男子のお尻は彼女の専有だ。
 他の人間にどうこうして良いものではない。
 
 だから男子は必死で女子にアプローチをする。
 付き合って欲しいと願う。
 しかし…。
 そう簡単に女子とは付き合えない。
 女子だって男は選びたいからだ。
 しかも女子というだけで、男子は次々と交際を申し込んでくる。
 彼女たちにしてみれば選り取り見取りだ。
 
 当然これは成人してからも変わることがない。
 だからこそ、独身男子は恥ずかしいものなのだ。
 交際相手がいない男子は、どこで誰に『お尻っ!』と言われても、文句は言えないし、素直にお尻を叩かれなければならない。
 ただし、成人した男子で結婚した場合はまた別だ。
 結婚済みの男子は、交際相手のいる男子と同じ扱いになる。
 ただ、紛らわしいからそういう男子は家で家事を行うことが普通。
 外で働いている男子は交際相手がいないか、あるいは妻や彼女に『こいつのお尻は誰でも好きに叩いてあげて❤』というふうに扱われている、というのが暗黙の了解。
 だから、働いている男子はお尻をいつも誰かに狙われている。

 


学生時代、ありとあらゆるアプローチを行い、その一切が徒労に終わった俺は、会社勤務2年目を迎えた日に彼女と出会えた。
 その話から始めたいと思う。

「は~い❤ 
 営業第二課の男子は全員成績表を貼った壁際に立って、お尻出しなさ~い。
 足首掴んで、お尻が女子に見えるようにね~」
 課長の声で、俺たち男子は成績表が貼りだされている壁際に、全員が一列に並ばされる。
 成績に応じて、スパンキングを受けるためだ。
 成績優秀なら、軽めのスパンキング。
 成績が悪いのなら、厳しいスパンキング。
 もちろんここで発表される順位によって給与だって変わってくる。
 つまり、俺たち男子にとっては、生きるか死ぬかの判決をくだされる日でもあるのだ。
 そういう大切な日に、会社はあえて今年入ったばかりの新入社員(女子のみ)を立ち会わせるのだ。
 もちろんこれは新入社員に対し、会社においても学生時代同様女子が『お尻っ!』と言ったら、男子はお尻を差し出さなければならないということの印象付けのためだ。

『男子に対するコミュニケーションは、言葉だけでなくお尻にも伝えること』

 これが我が社の社訓でもある。
 男子がお尻を叩かれ始める前に、会社の紹介をさせて欲しい。
 我が社の社名は、『株式会社 オフィス・スパンキング』。
 創業は明治3年と、意外と古い。
 そもそも世の男子は大抵が、二十歳前に結婚し家庭に入るので、一般企業では男手が全く足りない。
 我が社はそういう会社に、結婚できなかった男子を派遣・レンタルして収益を上げている会社だ。
 つまり我が社では、男子社員のお尻こそが商品。
 いや、少し違うな。
『男子社員をレンタルして、好きなだけお尻を叩ける』というサービスが商品なのだ。
 当然リピーターになってくれるお客様企業が多ければ男子社員は忙しいし、お尻はいつも真っ赤だ。
そして、逆もまた然り。
あまりにもリピーターのいないダメ社員は、いずれ社内の『特別教育部』から徹底的にお尻を叩かれる。
成績が悪いとこうなるという見せしめのためだ。
ちなみに俺は………。
いや、言わないでおこう。
多分最後に呼ばれるのが俺。
つまり成績最下位は……、俺だろうから。
「は~い。
じゃあ、去年度はお疲れ様ぁ~。
早速だけど、横浜支店営業第二課っ、男子成績順位を発表しま~す。
一番はいつもの通り、稲葉ク~ン。
一番だから、手で一発だけ。
ねぎらいの一発❤」

パンっ!

「ひぐっ!
 あ、ありがとうございます」
「うんうん❤
 今年もその調子でバンバン稼いでね!」
「は…はい。ありがとうございます」
 同僚の中でも最も背の低い、小柄なお尻の稲葉の右のお尻には、文字通りねぎらいの一発だけ。
 彼の赤い腫れはすぐに消えるだろう。
 あいつのお尻は、赤くなってもすぐに元の色に戻る、特殊なお尻叩かれ体質だからだ。
 すぐに元通りになるから、いくら叩いてもどす黒く腫れたりしない。
 しかも小柄タイプのお尻だから、女性の受けが良い。
 女性から見ても、小さいものは可愛く映るのだろう。
 そういう彼だからこその、『一番』。
「次は~。
 峰クンっ!
 稲葉クンには勝てなかったけど、本年度は頑張ってね。
 あ、峰クンは結婚するんだっけ?
 まぁ二番目だから、お尻叩きもちょっとレベルアップ❤」
 課長の手には30センチプラスチック定規。
 それも幅の大きい奴だ。
 頭の上まで振り上げたそれは、弧を描いて峰のお尻に叩きつけられる。

 ピシャンっ!

「ひっ!
 あ、ありがとうございますぅう!」
 峰は叩かれた瞬間、身体が軽く震えた。
 しなるプラスチック製の定規がお尻に巻き付いて、後から痛みと熱さが沸き上がってきているのだろう。
 そういう方が、『効く』と言う男子は少なくない。
「結婚式には呼んでね❤
 いつ頃の予定だっけ?」
「は…はひぃ……
 6月ですぅ…」
「あら、ジューンブライド?
 素敵じゃない❤
 じゃあ、成績三番目は…伊藤クン!
 もう…っ!
 ダメじゃない!
 伊藤クンは、もっといい子にしないとっ!
 いくらお尻が可愛くても、このままだと貴方…生活できないわよ!」
「う……すみません」
「『ごめんなさい』は、お尻叩きの後で聞きます。
 お尻叩きの前に言うのは『反省するために、お尻叩きをお願いします』でしょっ!?
 お尻叩き追加っ!」
 次に課長の手に握られたのは、ヘアブラシ。
 それも硬い樫の木で出来たやつだ。
 ヘアブラシは男女で使い方が違う。
 女子は髪を梳いて、美しくあるために使う。
 男子はお尻を叩かれて、反省を促すために使われるのだ。
 だから俺は女子がヘアブラシで髪を梳いているのを見ると、自分のお尻が叩かれるのではないかと不安になってしまう。
 見るだけで股のあたりがきゅんと、心細くなるのだ。
 課長はそれを高く振り上げて、伊藤のお尻を強く叩く。
 
 バシンっ!

「あぐぅっ!」
それはもはや叩くというよりも叩き付ける、といったほうが正しいかもしれない。
 伊藤は足をばたつかせて悶えていた。
 伊藤が特別に弱いわけじゃない。
 課長のスパンキングの心得が優れているのだ。
 ねぎらいや愛情表現の一発は限りなく優しく、愛情に富んでいる。
 一方で『教育』、『躾』、『お仕置き』、そういうためのスパンキングは的確に、最も痛みが残るように叩く。
 要するにお尻叩きが巧いのだ。
 
「御礼はどうしたのっ!
 御礼はっ!」

 バシンっ!

「ひぃっ!
すみませんっ!
ありがとうございますありがとうございます!」
「心が篭ってないっ!
 やり直しっ!」

 バシンっ! バシンっ! バシンっ!

「ひいいいっ!!!
ありがとうございますぅっ!
お尻叩き、ありがとうございますぅっ!」
「ふ~ん?
 どうして伊藤クンはお尻叩かれているのかしらね?」
 来た!
 課長のお尻叩きをしながらのお説教タイムだ。
 これがありとあらゆるお尻叩きの中で一番ツライと伊藤はよく言っている。
 …可哀想に。
 多分、課長もそのことを知っている。
 だからわざと…、ということなのだろう。
「せ、成績が悪くて……、その……」
「そうよね~」

バシンっ!

「はぐっ!」
「成績が悪いと、こんな風にお尻をイタイイタイされちゃうのよねぇ~」

バシンっ!

「ひっ!」
「そろそろ聞かせてちょうだい。
 今後はどうするつもりなのかしら?」

バシンっ!

「あぐっ! こ、今後は……成績がいつも上の二人に負けないように……」

バシンっ!

「ひぐっ! がんばって、お尻を叩きたくなる男子でいたいと…思います…」
「はい❤
 分かったわ。
 じゃあそのお約束を守れなかったら、またお尻叩きよ。
 いいわね?」
「……はい。お尻叩きの罰……、ありがとうございました」
 お尻叩きの後に、お尻をグチャグチャに揉みほぐす。
 それが課長の『お仕置きスパンキング』のルーチンワークだ。
 伊藤は俺の横で「はぐっ! はぐっ!」と声を漏らしながら、ただただ課長にお尻をもみくちゃにされていた。
「伊藤クンから成績が下なのは……あと、仲秋クンだけね?
 じゃあ、罰として二人は新入社員研修に行ってもらうわよ。
 さてと………、中秋クンっ!
 あれだけ注意しろって言ったのに何?
 結局最下位じゃない!
 ちょっとこっちに来なさいっ!」

 それまでは、男子全員壁際でお尻を叩かれていた。
 だから新入社員の女子からも多少の距離があったのだが…。
 俺だけが耳を引っ張られ、新入社員の目の前まで引きづられてゆく。
 もちろん下半身は裸のままでだ。
 パンツもズボンも、足首まで下ろしているので歩く姿は無様で、その姿だけで新入社員の失笑を買う。
 しかも、課長の顔は怒りに満ちている。
 激怒しているというよりも、呆れているのと怒りが半分半分に混ざっている、という表情だ。
 一瞬上げようとした俺の後頭部を課長が強く抑えこんで俺に足首をつかむように促す。
 そして股の下に手を突っ込んで俺のペニスを後ろに引き抜く。
 引き抜いたまま、上に引き上げるのだ。
 そうすることで俺は嫌でもお尻を高く突き上げざるを得ない。
「あぐぅっ!」
「もっとお尻を上げなさいっ!
 もっと高くっ!
 そうっ!
 その高さをキープするっ!
 おち○ちんはしまいなさい。
 お尻叩きの邪魔になるからっ!」
 課長が急に『叱るモード』に入ったせいか、新入社員たちは引いているように見えた。
 それはそうだろう。
 先程までのほのぼのとしたお尻叩きとは違う。
 大人の男を叱るためのお尻叩きだ。
 
 俺は自分のペニスをすごすごと前側に戻して足首をつかむと同時に、課長の声がオフィスに響いた。
「言うことあるでしょ?」
 身体が自然と震えてしまった。
 しかしそれでも口を開いて言わなければならない。
『お尻叩きお願いします』
の言葉を。

「せ、成績最低の、お……お尻に…その…ば、罰を……あの…。
 き、厳しい…お仕置きを……は、反省……反省しますから……その…」
「新入社員の女子の皆さんは、こういうオネダリもまともに出来ない男子社員はしっかりとお尻を叩いて、躾なおしてあげてくださいね。
 今の挨拶は追加罰が必要です。
 何回、必要だと思いますか?
 はい。
 じゃあ、そこのロングヘアーの女の子」
「はい。
 挨拶は人としての基本ですので、お尻叩き30回追加か、一番恥ずかしい場所でのコーナーリングが良いかと思います」
「うんうん❤
 模範解答ね。
 でも、この男子社員は一年で一番成績が悪いの。
 その程度のやんわりとしたお仕置きでは躾なおせないわ。
 良い?
 こういう頑固なお尻には、両方罰を与えましょう」
 キャ~という歓声の中、課長が手にとったお尻叩きの道具はハート型のスパンキングパドル。
ハート型の皮が、鞭の先に付いているスパンキングパドルだ。
 これで叩かれるとハート型の赤い痕がお尻に残る。
 可愛らしいからこそ、笑われる。
 自分ではきちんと見れないから、余計に恥ずかしい。
 そのためのハート型スパンキングパドル。
 
 ヒュンヒュン、パーンっ!!

「あぐっ!」
「この程度で声を上げないっ!
 ほら、次行くわよっ!」

 パーンっ!! パーンっ!! パーンっ!!

 熱がお尻に溜まってゆく。
 篭った熱が俺の身体の奥にガツンガツンと上がってゆく。
 頬に汗がつたって、床に落ちたのが分かる。
 鼻まで赤くなっているのが自分でも分かる。
 その上、身体が震えているのも…。

 パーンっ!! パーンっ!! パーンっ!!

「ひぐぅうっ!!!!」
 泣きたい。
 でも泣けない。
 目をつぶって、奥歯を噛む。
 少しでも頭が上がりそうになると、課長が俺の腰に手を置いて動かないようにと、制するのだ。
 ただ単に手を乗せられているだけなのに、この手だけで金縛りにあったように俺は動けなくなってしまった。
 動いたり暴れたりしたらさらに追加で、お尻叩きの回数が増えるから………だけではないだろう。
 
 パーンっ!! パーンっ!! パーンっ!!

「あぎぃいいっ!!!!」
 逃げれないお尻に、腕の重みが加わった勢いのあるスパンキングパドル。
 パドルの先の方が痛いのは、スパンキングラケットがよくしなっているからだろう。
 しなるパドルは、あまりに重い。
 痛いと思うのは叩かれてから少し経ってからだ。
 最初に感じるのは重さ。
 次に、熱。
 最後に、痛み。
 そして……今回はもうひとつスパイスがある。
「クスクス。あれであたしたちより年上なんでしょ?
 ああいう男も『先輩』って呼ばなくちゃいけないのかしらね?」
「いいんじゃない?
『先輩❤』って呼ばれながら、お尻を叩かれる方が精神的にキツイでしょ?」
「それもそうね。
 それにしても……ピンク色に出来上がってきたね。
 ハート型のスパ痕❤(スパンキングの痕の略称)」
「あれって技術がいるんでしょ?
 課長ってやっぱ凄いのね」
「あっ、あたしもそれ思った!」
 最後のスパイスは…年下の、会社に入りたての女子社員のコソコソ話だ。

 パーンっ!! パーンっ!! パーンっ!!

「はぐぅっ! あぐぐっ! ああうう!」
「こらっ! 
もっとお尻を高く上げなさいっ!
 膝を折らないっ!!!
 足首掴んで、お尻をもっと突き出すっ!
男子は入社して最初に教わるでしょっ!?
っていうか、学生時代にこのくらいはきちんと出来るようになっておいて!」
 課長の激に俺は震えたまま、首を縦に振る。
「す、すみません」
「ほらっ! ペンペンっ! ペンペンっ! ペンペンっ!」

 パーンっ!! パーンっ!! パーンっ!!

 課長の子供をあやすような「ペンペン」発言に新入社員たちがどっと笑う。
 そして、先程まで笑いをこらえていた同期や先輩の女子たちまでもが、声を上げて笑う。
 俺の、お尻を叩かれている姿を見て…。
 皆が声を上げて笑う。
 
 俺はようやく自分が涙を浮かべていることに気がついた。
「やだぁ~。
 泣いちゃった~」
「まぁ仕方ないよね?
 ペンペンされるような男子だし…」
「クスクス」
「あぁ、恥ずかちぃ~❤」










俺は泣いて、泣いて。
お尻叩きを受け続けた。

回数にして、100回を超えた頃だろうか。
課長はようやく手を止め、いつもの優しい声で新入社員たちにこう言った。
「さて、年間成績最下位の仲秋クンはこれで十分に反省できたと思いますか?」
 女子社員は一斉に、それも声を揃えて俺への判決を下す。
「出来てませ~ん」
「でも、これ以上仲秋クンのお尻は叩けないわ。
 どす黒く痕が残ったら、もうレンタルに出せないもの。
 ではどうすれば良いか、分かる人いますか?」
「はい!」
「あら? 
 あなたはさっきも答えたわよね?
 う~ん。こういう場合いろんな人の意見を聞きたいのだけど…まぁ、いいわ。
 じゃあロングヘアーの貴女。
 どうすれば良いか言ってご覧なさい」
「コーナーリングなどのお尻を叩かない、恥ずかしいお仕置きが良いと思います」
「そうね。
 コーナーリングの他になにか良いアイディアはある?」
「はい。
 私の家では、お姉ちゃんの彼氏が粗相をした時は、お尻叩きの後は全裸で生活させています。
 洋服は一切着させずに、全裸で家の仕事とかさせてます。
 それではいかがでしょうか?」
 課長は少しの間、靴を床にコツコツと当てていた。
悩んでいたようだった。
 そして、ゆっくりと口を開く。
「…いいわね。
 貴女名前は?
 とても良いわよ。そのアイディア。
 ぜひ採用しましょう!」
「ありがとうございます。
 名前は向日葵です。
 花のヒマワリと同じ字を書きます」
 ロングヘアーの彼女はそう答えた。
 課長は彼女をいたく気に入ったようで
「そう。覚えておくわ」
 と嬉しそうに答えて、もう一発俺のお尻にスパンキングパドルを叩きつけた。
「あぐぅっ!!!」
「じゃあ、新入社員のみなさんは、お昼に行ってきて。
 それから、立花さん。
 あなたは仲秋クンを女子トイレの入り口前に連れて行ってもらえるかしら?
 もちろんこのお尻叩きポーズで全裸のままよ?
午後は新入社員のレクレーションがあるからそれまで、しっかり仲秋クンを反省させてあげて。
 仲秋クンは女子トイレの前でしっかり反省すること。
 いいわね?
 他の男子はもうズボンを上げて良いわよ。
 お客様企業に行く男子は準備をなさい。
 ほらほらほらっ!
 さっさと準備するっ!」
 課長はそう言うと手をパンパン叩いて、社員を促した。
 俺はというと、立花さんなる同期の女子に耳をつねられながら、女子トイレの前まで連れて行かれ、その場で全裸にさせられた。
「良い?
 あたしが良いと言うまで、そのお尻叩きポーズで立っていなさい。
 お尻隠したり、逃げたりしたらスーツ返さないわよ。
 それから…。
 男のくせにあの程度のことで泣かないっ!
 同期としてすっごい恥ずかしかったわよ。
 新入社員にナメられるようなことをしないっ!」
 
 俺は立花さんの、至極真っ当な正論に涙を浮かべたまま、消えそうな声で
「すみません」
 と返答した。
 もちろん「声が小さいっ!」と、お尻を手の平で叩かれることになったが…。

 去り際に、立花さんは
「課長、あれでも優しくしてくれたのよ?
 30回以上叩かれる時は、叩かれた回数を言わないといけないのに、貴方。
 言わなかったでしょう?
 ホントなら、それも追加罰なのよ?
 課長に感謝しなさい。
 あんなに優しい上司はいないわよ?」
 俺は、この会社に入った時、最初に教わったことの中に「30回以上叩かれる場合、男子は叩かれるたびに回数と御礼を女子に伝える」とあったのを思い出して、また涙が出てきてしまった。
「アンタ、お給料も最低まで下がるだろうし、可哀想だと思うけどさ。
 いい加減、『お尻叩きを頂く』って態度を示せないと、誰もお婿さんに迎えてくれないわよ?」
 左の薬指に銀色の光をたたえながら、立花さんは俺のお尻をもう一発。
「ひぐぅうっ! 
 ありがとうございますぅっ!」
「そ。
 そうやって御礼を言うのは男子の義務でしょ?
 今日、仕事が終わったら課長に『回数を言わなかったこと』をお詫びなさい。
 あの人、甘いから多分、許してくれるわよ。
許してもらえるまでは、『許されない』身分だってことを、よくよく噛み締めて今日一日過ごしなさい」

俺は…。
不覚にも同期のお説教に…。
心の底から、自分が情けなく思えて…。
声を上げて泣いてしまった。

時折、トイレに来る女子にクスクスと笑われながら…。




次章の公開は、5/19ですっ!


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